10月から導入「インボイス制度」について知っていますか?

いよいよ来月10月1日より、消費税法の改正によるインボイス制度(適格請求書等保存方式)が始まります。

NPO法人やボランティアグループ等の任意団体は、基準期間(注)における消費税の課税対象となる課税売上高が1,000万円以下の免税事業者が多く、この制度とは関係がないと思われている方も多いかと思います。

今回問題となるのは、売上の相手先が事業者である場合ですので、売上の相手先が事業者以外の一般消費者のみであれば、今まで通り免税事業者のままで問題はありません。

一方、売上の相手先に事業者がいる場合、簡易課税制度を選択していない課税事業者である相手先は、インボイス番号を登録していない免税事業者に対する仕入れ等に対する消費税額を消費税の申告の計算上控除することができなくなり、納付する消費税額が増加することになります。そこで、このような事業者はインボイス番号を登録していない免税事業者との取引を敬遠したり、これまで支払われてきた消費税分の削減を求めたりすることも予想されます。

 このような事態を回避するには、免税事業者でもインボイス番号を登録する必要がありますが、登録すると課税事業者となり、消費税の負担が生じたり、事務の手数もかかることになります。

 国は、急激な変化に対する緩和措置として、免税事業者からの仕入れ等に対して、インボイスがなくても3年間は80%、その後の3年間は50%控除を可能にし、免税事業者が登録申請した場合の消費税額を3年間は売上税額の20%に軽減する措置も導入しています。

 また、インボイス番号の登録申請は、制度が開始する10月1日以降でもできますが、9月30日までに登録申請すれば、10月1日に登録を受けることが可能です。

 売上の相手先に事業者がいる免税事業者は、この機会に取引の相手事業者とインボイス番号の登録が必要かどうかや、適切な取引価格の話し合いを行うことが必要かと思います。

(注)基準期間とは、1年決算法人であれば原則その年の前々事業年度、個人事業者であればその年の前々年をいいます。

以 上

 

                                                                                                                           安納宏和会計事務所/ゆめ評定理事

安納 宏和